こんにちは!イー・ガーディアン ゲームリサーチチームです。

前回の記事「Discord運用を活性化させる”カギ”とは?<前編>」に引き続き、Discord運用の活性化について記事にしたいと思います。

■キーポイントは「利用価値」を高めること

流行しているサービスには、「主目的」と「副目的」があります。例えば、動画配信のサブスクリプションを例とすると、下記が挙げられます。

  1. YouTube Premium
    主目的:動画を広告無しで見ることができるなどの「動画周り」の利便性向上
    副目的:YouTubeの動画含め、ミュージックプレイヤー・サブスクのように利用できる
  2. Prime Gaming(旧:Twitch Prime)
    主目的:配信視聴の利便性向上
    副目的:定期的に無料配布されるゲーム・限定アイテムや配信者へのサブスク
    ※Amazon Prime加入者であれば上記特典を利用できる(※2023年1月現在)

これらは、主目的でユーザーのニーズに応えつつ、副目的で「利用価値の向上」を図っています。それぞれのサービス利用者の声をリサーチすると、YouTubeのミュージックプレイヤーは曲が多くて使いやすい・Twitchのお気に入りの配信者をサブスクで応援できて嬉しいなど、「副目的」に対する肯定的な意見が目立ちます。つまり、「副目的」そのものが「利用価値」となるケースが非常に多いのです。

■Discordの「副目的」を意識できているサーバーはほとんど無い

Discordはゲームユーザーが同じゲームに興味を持つ他ユーザーとコミュニケーションを取れる、所謂「同好会」的な使い方をされることが多いでしょう。つまり、「主目的」はコミュニケーションと言って間違いありません。

では、「副目的」は何でしょうか?ここが非常に重要なキーポイントとなりますが、副目的を意識して運営できているサーバーは非常に少ないのが現状です。

何故、「副目的」を意識して運営できているサーバーが少ないのでしょうか。
それは、

  • 「明確な答え」がDiscord側から用意されていない
  • ユーザーの属性・嗜好によって様々な選択肢がある
  • それらを考え、作り出す人的リソースを捻出できない

という理由が大きいのです。主目的であるコミュニケーションの場だけをユーザーに提供しても、前回記事のように「一部の活発なユーザー」だけが動き、一般的なユーザーはサーバーを利用しなくなっていきます。
明確な答えがない「副目的」を自ら考え作り出す、という意識ひとつで、Discordサーバーの命運が別れると言っても過言ではありません。

■「副目的」を設定する前に、ユーザーの行動を想像する

副目的を作り出す・設定すると言っても、その答えは多岐に渡ります。ゲームやサービスの性質により正解は変わってくるものですが、最も一般的な例をご紹介したいと思います。

ユーザーがゲームや何かしらのサービスを利用する際、そのほとんどは下記の導線を辿ります。

  1. チュートリアルをプレイ、説明を読むことで基本的な利用方法を理解する
  2. 基本的な利用方法を実践する
  3. 新たな疑問・欲求が生まれる
  4. Webなどで情報を調べる

この時、項目3までは「ゲーム・サービス内」で完結しますが、項目4で「ゲーム・サービス外」にユーザーの行動が移ります。

攻略サイトやレビューを見たり、他ユーザー同士でコミュニケーションを取ったりと、ゲーム・サービス外での行動が活発化していきます。この時、「コミュニケーション」の点で多く利用されているのがDiscordなのです。つまり、Discordに参加するユーザーのほとんどは、項目4の状態であると言えます。

■コミュニケーションで「情報を得る」ユーザーは少ない

項目4でDiscordに参加したユーザーは、コミュニケーションを取ろうと各チャンネルを確認しますが、ここで障壁となるのが「チャット」です。

コミュニケーションを取ろうとDiscordに参加したのに、何故「チャット」が障壁となるのか不思議に思われるかもしれませんが、実際に日本のDiscordサーバーの発言率は「平均3%以下のユーザ/日」であることがほとんどです。

つまり、ほとんどのユーザーがチャットをしない、もしくは数回チャットをして「その時に欲しかった情報」を得た後チャットをしなくなる、という現象が起きているのです。

では、残り97%の「チャットをしない」=「コミュニケーションをしない」ユーザーはどのように情報を得ているのでしょうか。

■ユーザーのほとんどは「他ユーザーのチャットを見る」ことで情報を得ている

Discordは各チャンネルのログが仕様上、半永久的に残ります。つまり、これまでのユーザーのチャットひとつひとつがFAQのような形になっていきます。

しかし、「Discordを検索をする」という行動は「ブラウザでWebを検索する」と同様の行動です。

昨今は各攻略サイトが充実しており、攻略動画なども数多く存在しています。Discordもリアルタイム情報を得るには有用なツールですが、チャットベースの情報になることから、そのほとんどは断片的です。つまり、Discord内を検索するよりも、Webを検索したほうがより精度の高い情報に辿り着く可能性が高いのです。Discordサーバーに参加したユーザーは、参加から数日以内にこの事実に気付きDiscordを利用しなくなるケースが非常に多いのです。

しかし、これがDiscordの「副目的」のヒントになります。

■ユーザーが知りたい情報をDiscordで補完する=「副目的」=「利用価値」という考え方

多くのユーザーが情報を得るために使うツールは1つです。ゲームをしながらいくつものツールを横断的に使用するのは煩わしいからです。そして、その利用ツールのほとんどはブラウザになるわけですが、Discordがブラウザに代わることもできるのです。

一例として、Discordにはフォーラム機能があります。フォーラム機能とは、掲示板のようにそのフォーラムの主題に沿ってユーザー同士がコミュニケーションを取ることができる機能ですが、これを利用することで「ユーザーが知りたい情報をまとめる」のです。

Discord文化が進んでいる海外のゲーム系サーバーの一部で、この施策が進み始めています。

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「Marvel Snap」のデッキ紹介Discordフォーラム

PvPカードゲーム「Marvel Snap」のDiscordサーバーでは、フォーラム機能を利用してゲームの肝である「カードデッキ」の情報をまとめています。

この情報はユーザーによって日々リアルタイムで更新されており、現状のメタデッキはもちろん、ネタデッキも含めて議論が交わされています。

この取り組みにより、ゲーム内で最も知りたい情報がDiscordでリアルタイム且つ見やすく整備されています。ユーザーはゲームを立ち上げつつ、ブラウザではなくDiscordで情報を検索するという導線になる=ユーザーはDiscordに利用価値を感じ利用頻度が向上するのです。

■サービスに合わせて「副目的」「Discordの利用価値」を創出する

今回は、Discordの利用価値を高める重要性と、その一例をご紹介しました。今回ご紹介した事例だけでなく、他にも利用価値を高める取り組みは数多くあります。

弊社はDiscordトータルサポートを提供しており、サービスに合わせた最適な「利用価値」のご提案と、実際の構築や運用まで、一貫して対応することができます。

Discordサーバーの運用でお困りのことがございましたら、より深く情報をご提供することも可能ですので、お気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。

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