こんにちは!コンプライアンスチェックチームです。
前回は「反社チェックとは?」に触れましたが、今回は具体的なチェックの方法やその基準についてお話していきます。

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自社でおこなう場合と委託する場合

①公知情報検索による反社チェック
多くの企業では以下の検索方法のうち、複数のものを活用しているところが多いのではないでしょうか。

  • 新聞記事検索
  • インターネット検索
  • その他反社会的勢力データベースを検索
  • 複数のデータベースに検索をかける理由としては、そもそもこれらのデータベースは反社会的勢力を網羅するものではないため、情報の相互補完を行いながら精度を高くするためです。特に、インターネット上の情報はソースが記載されていなかったり、掲載情報が不足していたりして、同姓同名別人の情報だったり情報そのものが虚偽である場合がありますので、複数の情報ソースを持つことは非常に大事です。

    ②専門の調査機関を活用した反社チェック
    ①の公知情報検索ではグレーで判断がつかない場合や、M&A等の重要取引の判断をおこなう場合、取引失敗のリスクが高いと思われる時には、専門の調査機関を活用することも検討されるとよいでしょう。

    反社チェックで気を付けるべきポイント

    反社チェックの調査は「どのような条件」で「いつ調査し」「どのような結果だったのか」の証拠を残すことが重要です。後になって判断の適切性を証明しなければならなくなった場合に備え、どのような手法を採用するにせよ調査を適正な方法によっておこなった証拠はきちんと残しておきましょう。

    反社チェックした結果、判断がつかない場合は?

    多くの企業が悩むのはシロでもクロでもないグレーのものはどのように判断すべきなのか?というものだと思います。 反社チェックってどこまで厳格にやるの?①.JPG グレーというのは最後のケースです。結論から先に言うと、政府の『指針』に基づく省庁による指導では「クロと断定できないのであれば取引先として排除しなくてもよい」つまり「グレーは取引可」、いわば「疑わしきは罰せず」の原則でよいことになっています。

    以下は、金融業界の反社チェックに関するもので、金融庁による指針です。反社チェックの結果、「クロと断定できるほどの情報が得られなかった場合(つまりグレーの場合)どのように判断すべきか」、という業界からの質問に対する金融庁の見解が述べられたものです。

    <2014年6月4日の金融庁の「監督指針の改正に対するパブリックコメント」の金融庁回答>

    【パブリックコメント】
    金融機関において契約当事者が反社会的勢力に該当するとの疑いを認知したものの、警察から当該契約当事者が反社会的勢力に該当する旨の情報提供が得られず、かつ、他に当該契約当事者が反社会的勢力に該当すると断定するに足りる情報を入手し得なかった場合に、期限の利益の喪失等の特段の措置を講じないことは必ずしも利益供与となるものではなく、また、必ずしも金融機関の業務の適切性が害されていると評価されるものではないと解されるが、そのような理解でよいか。

    【金融庁の考え方】
    ご指摘の場合は、様々な手段を尽くしたものの反社会的勢力であると判断できなかった場合と理解されますので、ご理解のとおりと考えます。
    ※No.77 「主要行等向けの総合的な 監督指針」 Ⅲ-3-1-4-2(5)③
    出典:金融庁『コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方』

    金融庁回答の趣旨としては「種々の情報を収集して、それでもクロと断定できない場合は取引解除・遮断の措置をしなくてよい」ということになるかと思われます。産業界で最も反社対策に厳しい金融業でこのとおりなのですから、その他業種でも同様のことが当てはまるといえるでしょう。

    反社と判断する基準は厳格でなくてもいいの?

    それでは、全ての取引について自社で簡易的なチェックのみを実施し、明確なクロ以外は「グレーだから取引可」として良いというものでしょうか?反社チェックを「レピュテーションリスクを回避するための手段」としても考えるのであれば、グレーの結果についても独自の判断がなされる必要があると思われます。なぜなら、もし問題のある取引とみなされ企業名が公表されてしまった場合、企業のイメージダウンは必至となってしまうからです。

    グレーの場合は取引額が大きいのか少ないのか、一回のスポットか継続か、取引内容がいかにも「利益供与」のように見えるかどうか、取引の事実そのものが露呈しやすいか否か、色々な側面を考慮して、各企業が独自基準のもとに、各取引の内容・性質に応じた対応というものがなされなければなりません。

    必要な反社チェックの基準は、「法律にどう書かれているか」「お役所がどこまでやれと言っているか」という観点だけではなく、「企業が自社のリスクマネジメントとしてどこまでやっておけばいいのか、どこまで良いと判断するのか」という観点ももって決めるべきものではないでしょうか。

    弊社では様々な反社チェックサービスを提供しておりますので、調査依頼やお困りごとがございましたらお気軽にお問い合わせください!

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